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内定通知書の正しい出し方!テンプレート付きで法的リスクと辞退対策を解説

優秀な人材との出会いは、企業にとって大きな喜びです。しかし、最終面接を終えて「採用」を決めてから、実際に入社するまでの期間は、実は採用プロセスの中で最も「辞退」が起きやすい危険な時間でもあります。

その橋渡しとなるのが「内定通知書」です。単なる事務手続きの書類と考えてはいけません。内定通知書は、候補者にとって「その企業で働く覚悟」を決めるための最後の一押しであり、企業にとっては「法的義務」と「信頼構築」を両立させる重要なプレゼンテーションなのです。

本記事では、内定通知書の書き方やテンプレートはもちろん、他社と差をつける辞退防止のテクニックまで、採用担当者が知っておくべき実務の核心を詳しく解説します。

 

内定通知書とは?採用実務における役割と重要性

内定通知書の定義と法的性質

法律上、内定通知書を送付し、候補者が承諾した時点で「始期付解約権留保付労働契約」が成立したとみなされます。簡単に言えば、「入社日は先だが、雇用契約はすでに結ばれた」状態です。

企業側は、合理的な理由がない限り、一方的に内定を取り消すことはできません。この「法的な重み」を理解しておくことが、トラブルを未然に防ぐ第一歩となります。

なぜ内定通知書が必要なのか?

口頭での「合格です」という言葉だけでは、言った・言わないのトラブルが発生しやすく、候補者も不安を感じます。特に在職中の転職者の場合、確実な書面がなければ現在の職場に退職願を出すことができません。

また、近年のSNS社会では「内定を出したのに書面が来ない」「条件が不明瞭」といった不満が企業の口コミサイトに書き込まれるリスクもあります。内定通知書は、企業のコンプライアンス意識を示す「信頼の証明書」なのです。

労働条件通知書・採用内定通知書との違い

よく混同されるのが「労働条件通知書」です。

  • 内定通知書: 採用の意思を伝えるためのもの。
  • 労働条件通知書: 賃金や労働時間など、具体的な条件を明示するもの。

2024年4月の労働基準法施行規則の改正により、労働条件の明示ルールが厳格化されました。理想的な運用は、内定通知書に労働条件通知書を同封、あるいは一体化させて送付することです。

 

内定通知書に必ず記載すべき項目

基本項目

  1. 作成年月日: いつ通知したかを明確にします。
  2. 企業名・代表者名: 社印を押印することで公的な信頼性が増します。
  3. 内定者の氏名: 敬称を間違えないよう細心の注意を払います。
  4. 内定の意思表示: 「厳正なる選考の結果、貴殿を内定と決定いたしました」といった明確な文言。

入社に関する詳細

  • 入社予定日: 候補者の現職の退職状況に配慮しつつ、確定した日付を記載。
  • 職種・配属先: 面接時に合意した内容と齟齬がないか確認します。

提出書類の案内

内定承諾書の返送期限を必ず設けます。一般的には「1週間以内」が目安です。その他、卒業証明書や源泉徴収票など、必要な書類をリストアップします。

内定取消事由

前述の通り、内定は労働契約です。取り消す可能性があるケースを明記しておくことで、万が一の法的紛争リスクを軽減します。

内定通知書のテンプレート(中途採用向け)

もっとも汎用性の高い内定通知書フォーマット

内定通知書

202●年●月●日
[候補者氏名] 様

[貴社名]
[代表取締役名] 印

拝啓
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
この度は、当社の採用選考にご応募いただき、誠にありがとうございました。

慎重なる選考の結果、貴殿を正社員として内定することに決定いたしましたので、ここに通知いたします。
貴殿のこれまでの経験とスキルが、当社において存分に発揮されることを期待しております。



1. 入社予定日:202●年●月●日
2. 配属部署:[部署名]
3. 職種:[職種名]
4. 労働条件:同封の「労働条件通知書」をご参照ください。
5. 提出書類:
  (1) 内定承諾書(同封の返信用封筒にてご返送ください)
  (2) [その他必要な書類]
6. 提出期限:202●年●月●日(必着)

なお、入社手続き等に関する詳細は、後日改めてご連絡いたします。
ご不明な点がございましたら、採用担当の[担当者名]までお気軽にお問い合わせください。

以上
敬具

 

スピーディーに連絡する場合の文面例(メール用)

最近では、書面の郵送に先立ってメールで速報を送るのが一般的です。

「本日の面接の結果、ぜひ内定をお出ししたくご連絡いたしました。まずは取り急ぎメールにてお知らせいたします。正式な書類は本日中に発送(またはPDF添付)させていただきます。」

このように、「あなたの評価が非常に高かった」というメッセージを添えることで、他社への流出を防ぐ効果があります。

 

内定通知書を送る際の正しいマナーとタイミング

送付のタイミング:最終面接から「3日以内」が理想

優秀な人材ほど、複数の内定を並行して持っています。最終面接の翌日、遅くとも3日以内に通知が届かなければ、候補者は「自分は第一志望ではないのかも」「決断が遅い会社だな」と不安を感じ始めます。

内定者へのフォロー電話・メールのポイント

書面を送る前に、まずは電話で合格を伝えるのが日本の採用文化では依然として有効です。

  • 評価したポイントを具体的に伝える: 「〇〇さんの、課題解決に対する粘り強さを高く評価しました」など。
  • 期待している役割を伝える: 「ぜひ、次世代のリーダー候補としてお迎えしたい」など。

単なる「合否結果」ではなく、「あなたに来てほしい」という熱量を伝えることが重要です。

 

内定辞退を防止するための3つのテクニック

1. 「条件面」だけではない心理的な動機付け

給与や福利厚生は「不満」をなくす要素ですが、「満足」を作る要素ではありません。

内定通知書を送る際、「現場のメンバーからの寄せ書き」や「入社後の具体的なキャリアパスを記した手紙」を添えてみてください。

「このチームの一員になりたい」と思わせる心理的報酬が、他社の高待遇に打ち勝つ決め手になります。

2. 内定者懇談会・オファー面談の活用

通知書を送って終わりではなく、承諾前に「オファー面談」を設定しましょう。

ここで、労働条件の細かなすり合わせだけでなく、本人が抱えている「入社後の不安」を徹底的にヒアリングします。入社後のミスマッチを防ぐことが、長期的な定着につながります。

3. 労働条件の透明性を高める

「入社してみたら残業代の仕組みが違った」といったトラブルは、企業のブランドを大きく傷つけます。

固定残業代の有無、試用期間中の条件、賞与の算出基準などを、内定通知の段階で隠さずオープンに提示しましょう。誠実な姿勢こそが、最高のリクルーティングになります。

 

まとめ:正確な内定通知書で、最高の入社体験を提供しよう

内定通知書は、採用プロセスのゴールではなく、社員としての「新しいキャリアのスタートライン」です。

丁寧で迅速な対応、法的リスクを抑えた正確な記載、そして何より「あなたを歓迎する」という温かいメッセージ。これらが揃って初めて、内定者は迷いなく入社の決断を下すことができます。

貴社の魅力を最大限に伝え、信頼関係を築くためのツールとして、内定通知書を見直してみてはいかがでしょうか。

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